2012年御翼3月号その1

聖書に学ぶ人づきあい力―佐藤綾子博士

 パフォーマンス心理学博士・佐藤綾子氏(日本大学芸術学部教授)は、1992年、パフォーマンス学会(社団法人パフォーマンス教育協会)を設立、日本にパフォーマンスの概念を持ち込んだ。パフォーマンスとは、意識的に最善の自己表現をし、人間関係を豊かにすることである。(パフォーマンス学は言語及び表現・動作などの身体による人間の表現を包括的に研究する学問であり、心理学、社会学、コミュニケーション学、演劇学など多岐にわたる学術的領域に位置づけられている。)クリスチャンである佐藤綾子氏は、善性で満ちたパフォーマンス(自己表現)は、聖書の言葉に基盤があると、以下のように記している。
 「AURA」(オーラ)とは、「人または物体から発信される特別な光」です。オーラは、プラスのオーラとマイナスのオーラに分かれます。マイナスのオーラとは、「私など何もできない人間です」と、自分についてマイナスのイメージを持ち、励ましてもらいたい、と思っているときに発せられます。これでは人はその人から逃げて行ってしまいます。一方、プラスのオーラは「うれしい、感謝しています、喜んでいます」と人に伝える光です。顔中ニコニコとほほえみを浮かべて目を輝かせて相手を見つめ、明るい声で話す、そんな時、顔からはプラスのオーラが発生するのです。それを見て周りの人はこの人と一緒にいるときっといいことがあるに違いない、と思うのです。フィリピ4:4には、「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい」とあります。喜ぶコツは、今起きていることがらのすべてに感謝することなのです。

 何よりも、イエス様によって罪が赦される道を、神が備えてくださったことが、神の愛の証拠だと受け止め、感謝しなければならない。更に、佐藤氏は、「本当の話し上手」という題で、以下のように記している。
 社会人対象に行っているパフォーマンス学講座のスピーチの授業では、いつもスピーチを三種類に分けます。1.楽しませたいのか 2.知らせたいのか 3.説得したいのか
 この3つの目的のどれを自分が選択して話しているのかがわかっていると、相手との話はうまく進んでいき、相手にも感謝されます。そう考えると私たちの日常でよくある、独身の人を見ると「いつ結婚するんですか?」、結婚した人を見ると「お子さんはまだですか?」、離婚した人には「なぜだったんですか?」アラ還世代(還暦前後の人)を見れば「お孫さんはまだですか?」と聞くワンパターンが、まったく三つの目的のどれにも該当していないということに気づくでしょう。ただ無意識に「よくある質問」を繰り返しているだけです。相手の迷惑も考えずに。

 話すときには、まずこの話をすることの目的は何だろうか、と意識するのが本当の話し上手の第一歩です。聖書にこんなことばがあります。「軽率に話して人を剣で刺すような者がいる。しかし知恵のある人の舌は人をいやす」(旧約聖書・蔵言12章18節)更に必要なのが想像力(イマジネーション)です。今、相手は何を悲しみ、何を喜んでいるのか、常日頃はどんな価値観を持っているのか、そんなことへの洞察力が必要です。そのために時には沈黙も必要です。その上で楽しませたい、知らせたい、説得したいとそれぞれの目的をもって目の前の人を愛情をもって見つめて、何かその人に役立つことを言ってみませんか?そこから人間関係の第一歩が始まります。   佐藤綾子『聖書に学ぶ 人づきあい力』より

 自己中心という罪を赦すために独り子を十字架に送られたことが、神の愛の証拠である。それを知ったならば、私たちも愛の人に変えられた証拠として、善に満ちた行動をしよう。

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